No.02 2018年7月発行
狈辞.02 タブロイド版 7月号(2018年7月発行)
<特集>
秋芳洞で新発见!未踏の巨大空间
地底にはまだ谁も见たことのない世界が広がっている!!
前人未踏の洞窟探検へいざ出発!

写真:后藤聡(日本洞窟学会)提供
◆知られざる神秘の世界
暑い夏にでかけたくなる県内のひんやりスポットの代表といえば、やはり秋芳洞(あきよしどう)でしょう。秋芳洞は国の特别天然记念物に指定されている日本屈指の规模を夸る钟乳洞(しょうにゅうどう)※で、その一部が観光洞として一般に公开されています。実は、皆さんが知っている百枚皿や黄金柱(こがねばしら)の奥にも、洞窟は続いているんです。そして、惊くことにその长さは今も延び続けています。というのも、まだ见つかっていない场所があるからなんです。
この秋芳洞を调査し続けているのが、山口大学文化会洞穴研究会の学生や翱叠です。研究会の歴史は63年と长く、洞窟のみを専门とする学生団体は全国的に见ても珍しいのだそう。彼らは、秋吉台?秋芳洞という学术的価値の高いフィールドを有する山口県ならではの特徴ある研究団体として活动しています。
今回、彼らをはじめとする共同调査チームが见つけた新たな空间の入り口は、観光客が入ることのできない秋芳洞の奥深く、须弥山(しゅみせん)と呼ばれる大空间の天井です。高さはおよそ30メートル。なんと7~8阶建てのビルに相当します。长いはしごをかけても届くような高さではありません。では、一体どのようにして入ったのでしょう?
実は、天井に开いたもう一つの穴が键を握っていました。この穴は风穴と呼ばれ、以前から地上につながっていることが分かっていました。そこでまず、地上から下に降りて须弥山の天井部に出て、そこから壁伝いに横に移动して新空间の入り口へと进んでいったのです。さらに大変だったのはその先。新空间は上へ上へと延びていました。1时间登ったところで、ようやく开けた场所に到达。高さ15メートル、长さ80メートルの巨大通路、大回廊が姿を现しました。
◆新空间形成の谜に迫る

写真:后藤聡(日本洞窟学会)提供

一体、どのようにしてこんなに巨大な空间ができたのでしょう。そのヒントは、新空间の天井に隠されていました。この空间全体がかつて水で満たされていた水中洞窟であったことを証明する、丸いくぼみがあちこちに残されていたのです。
これは、地下水面が现在よりもっと高い位置にあった时代、秋芳洞が现在のような形になるずっと前に、この巨大な水中洞窟が形成され、これが秋芳洞の原形になったという新たな学説の可能性を示すもの。秋芳洞の成り立ちの定説を涂り替え、形成时期はこれまでより数倍古い数百万年前にさかのぼる可能性もでてきました。また、水の流れを考虑すると、当时の秋吉台の地表地形が现在のそれとは异なっていたことも推测されています。
この新空间の発见とこれまで未调査だった场所の测量も含めて、秋芳洞の総延长は8850メートルから10.7キロメートルに延长し、国内第2位となりました。约1キロメートルの観光コースだけでも圧倒的なスケールですが、私たちが见ていたのはその一部。さらにその上にも巨大な空间が隠れていたなんて惊きです。
今回の调査から、さらに奥に未知の空间が存在する可能性が高まったため、今后の延长も期待されています。このほかにも、秋芳洞の天井には未踏の穴がたくさんあるそう。秋芳洞に行ったなら、ぜひ天井にも注目してみましょう。将来あなたが见つける穴が、次の大発见につながるかもしれませんよ!
※石灰岩の割れ目から入った雨水や地下水に溶かされてできた洞窟
取材協力 山口大学文化会洞穴研究会OB?日本洞窟学会副会長 村上崇史氏/山口大学文化会洞穴研究会学生(清島蘭丸、金清嶺)
歴史を动かす「物语」
ドラマチックな物语は、多くの人々を魅了し、そして结束させるカがあります。
それが宗教や国に発展することもあるのです。

「清凉殿落雷」第叁巻は、御所に落雷するシーンが描かれている。
◆菅原道真、理不尽と復讐のドラマ
もしも才能のある良い人が阴谋にはめられ追放される、なんて事があったら「そんなバカな话があるか!」と思いませんか。まさにそんな事が约1100年前の京都で起きました。
人望が厚く、学者でもあった菅原道真さんは、右大臣という要职まで登り詰めますが、政敌から无実の罪を着せられ、九州の太宰府に追放されてしまいます。道真さんは再起を愿いますが、それはかなわず、无念のうちに亡くなってしまったのです。なんてひどい。
しかし物语はここで终わりません。死んだ道真さんは、恨みを晴らすために、怨霊になる道を选びます。それも大亲分です。そして手下の悪霊を次々に京都に送り込んで大暴れさせたのです。都は疫病や灾害が蔓延して大パニックです。政府中枢である御所にも雷が落ちて、人が亡くなる状态です。
都侧は、怨霊退治の祈祷师を使って防戦しますが、歯が立ちません。道真さんは、自分を陥れた政敌を次々に倒していきます。その途中では、かつての同僚が戦いを止めるよう立ちふさがるといったドラマもありますが、ついに道真さんはラスボスを倒して恨みを晴らしたのでした!ああ良かった。
心を静めた道真さんは、天神となります。そしてそのスーパーパワーを、今度は人々の幸せのために使うようになりました。なんですばらしい。
◆1000年のロングセラー

「松崎社の繁栄」第六巻には、防府の様子が描かれる。
これが1000年以上にわたって、私たちを惹きつけてやまない道真さんの物语です。まさに日本の一大ロングセラーと言えるでしょう。
道真さんの物语は絵巻物や掛け轴として全国の天満宫に奉られています。防府市の防府天満宫は、京都の北野天満宫や福冈の大宰府天満宫と同様に菅原道真公(天神さま)を祭神としてお祀りしており、防府天満宫独自の「松崎天神縁起絵巻」(国指定重要文化财)が伝わっています。このうち第1巻から第5巻は、北野天満宫の絵巻物を踏まえて成立したとされていますが、第6巻は、まさに中世の防府天満宫そのものを描く独自のものです。山口大学人文学部教授の真木隆行さんはこの第6巻について、现地の様子が意外にリアルに描かれていて兴味深い、と语ります。
◆物语の结束力
こういった魅力ある物语は人々を结束する力になるのかもしれません。例えば防府は、道真さんが都を追われ、九州に行く途中で立ち寄った场所であり、しかも亡くなったときに光が射して瑞云が立ち上がったという伝説があります。そんな物语のゆかりの场所に、道真さんを慕う人々が集い、大きな町に成长するきっかけになるのです。
また、物语を政治的に利用することもできるでしょう。例えば道真さんの天変地异がおさまったタイミングで、政治家が「我々が道真さんを镇めた。いわば道真さんに认められた」と言えば、その政治家の正统性が高まるでしょう。そうして物语を使って、势力拡大を図ることもできるというわけです。
◆新たな物语は始まるのか
こういった物语による势力拡大というのは、歴史的にたくさんの事例があると真木さんは语ります。王位の正统性を神话に求めるのは良くある事です。
最近では、人気アニメにゆかりの地が“圣地”とされて、多くのファンが集まる现象があります。これがゆくゆくは一大势力に成长するのでしょうか。そして100年、200年と结束力を保つことができるでしょうか。物语の魅力はどこまで続くのでしょうか。とても兴味深いところです。
防府天満宫には、1000年もの间、人々を魅了した物语があります。色彩豊かな絵巻物は、いまみても见劣りしない优れた美术品でもあります。ぜひ、一度本物を见に行きましょう。
取材協力 山口大学人文学部 真木隆行教授/資料提供防府天満宮「松崎天神縁起絵巻」は鎌倉本応長元年(1311年)と室町本文亀三年(1503年)があり、防府天満宮殿史館(宝物館)において毎月絵の場面を変えて常設展示
カブトムシ杀しのミステリー

カブトムシやクワガタがよく集まる场所には、何者かにかじられたカブトムシの死骸が散乱していることがあります。おなかの部分が食べられ、头部だけが残された死骸です。この无残な食べ残し、いったい谁の仕业なのでしょう?山口大学理学部助教の小岛渉さんは、国内でも唯一の力ブトムシ生态の研究者です。小岛さんは、子供のころからカブトムシが大好きで、ついに研究者になったのです。
小岛さんは、カブトムシが豊富な関东近郊の里山で、赤外线カメラを使って张り込み捜査をしました。
そして犯行现场の撮影に成功したのです!犯人(犯獣?)はタヌキでした。タヌキはカブトムシが集まる时间帯に、树液のある木にやって来て、背を伸ばしてむしゃむしゃと食べていたのです。とてもおいしそうに。
更なる调査の结果、タヌキは、どの季节の、何时ごろに、どこに行けばよいのか、ちゃんと知っていて、わざわざ食べに来ていることがわかりました。本当にカブトムシが大好きなのですね。
小岛さんは、研究拠点を山口に移し、こちらでもカブトムシの研究を続けています。しかし山口では、カブトムシの死骸がいっぱいある繁殖地が见あたらないそうです。関东と何が遣うのでしょう?新たなミステリーです。
読者の皆さんで、カブトムシが食べられた死骸がゴロゴ口している场所を见つけたら、ぜひアカデミック编集部へお知らせください。事件解决に力を贷してください!


取材協力 山口大学理学部 小島渉助教/イラスト YU-PRSS山口大学広报学生スタッフ 河野鈴子
卵にお絵かき
大学生が企画する子供たちとのワークショップで大人気!
中身を抜いた卵のカラに絵の具で好きな模様やイラストを描いてみよう。
色纸、スパンコールなどの饰りもつけて、自分だけのアート作品を仕上げてね。



取材協力 山口大学教育学部美術教育選修学生/イラスト YU-PRSS山口大学広报学生スタッフ 烏田苑実
「安心」して食べたい。選びたい。ムスリム的学食奋闘の记録
自分の身の周りのお店やレストランで自分の食べるものが取り扱われていなかったとしたらどうしますか。どこで食材を手に入れ、どこへ外食しに行けばよいのでしょう。皆さんならどうしますか。
YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 小原彩乃

◆ハラールフード
イスラーム教の食事に関するルールをご存知ですか。野菜や鱼を食べることは问题ありませんが、豚肉やアルコールの饮食は禁止されています。鶏肉や牛肉も决められた手顺にのっとって処理したものでなくては口にしてはいけません。そんなムスリム※の方が安心して食べられるように処理をした食べ物を「ハラールフード」と言います。
◆学食に新しい风を
山口に住むムスリムの留学生たちは学食にハラールフードがないことに困っていました。それならば自炊するしかありませんが、県内でハラールフードを取り扱う店舗はごく限られ、そうでなければ高额な通贩で入手するしかありませんでした。
バングラデシュからの留学生で山口大学大学院経済学研究科の力ジ?ハサンさんは、吉田キャンパスの学食にハラールフードが导入されていない事を残念に思っていました。なぜならば同じ県内にある常盘キャンパスの学食にはすでに导入されていたからです。
そこでハサンさんは大学の留学生支援室に相谈、その后副学长を含めた话しあいを経て、吉田キャンパスの学食「ボーノ」にハラールフードを导入することにこぎつけました。调理场では豚や他の肉を调理した道具が作业过程に混ざっていないか、油を使う料理にも他の肉を扬げた油を使いまわしていないかなどもチェックされて、ようやくムスリムが安心して食べられるハラールフードのメニューが提供されるようになりました。
◆新メニューへの期待
吉田キャンパスにハラールフードを広める先駆者となったハサンさんに今后学食に増えて欲しいメニューをインタビューすると「牛肉が食べたい。」とのこと。现在学食で提供されるハラールフードはカレーが四种类とタンドリーチキンの计五品ありますが、使われている肉はいずれも鶏肉であり、牛肉を使用したハラールフードのメニューはまだ登场していません。
どれだけ美昧しくても同じメニューばかりでは谁しも饱きてしまうというもの。今后の新メニューへの期待が高まります。
※ムスリムとは、イスラーム教徒のこと。イスラーム教徒は世界の人口のおよそ1/4を占めるといわれている。
取材協力 山口大学大学院経済学研究科2年 カジ?ハサンさん/山口大学経済学部 西山慶司准教授/山口大学大学教育機構留学生センター 中野祥子助教
ヤマミィ4コマ『さんぽ日和』

企画?撮影:YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ
高松 安奈、烏田 苑実
YU-PRSS 広报学生スタッフ紹介

编集后记
夏は天の川がきれいですね。夏の大叁角形の中央から南の空にかけて白い帯が続きます。もし双眼镜があれば、ぜひ天の川くだりを楽しんでみましょう。たくさんの小さな星々がザラザラと视野を通りすぎていきます。そして星が集まった星団や、ガス状の星云をいくつも见つけることができるでしょう。
天の川は私たちの太阳系が属する银河系そのものです。银河系には约2000忆の星があって、たくさんの星云星団があります。サソリ座といて座のあたりに银河系の中心があり、太阳系もそこを中心に回っているのです。
そんな天の川は、残念ながら都会では见る事ができません。都会には、たくさんの照明があって、空が明るすぎるのです。もはやプラネタリウムにしか天の川はないのです。
夏の夜に、本物の天の川を见上げながら宇宙に思いを驰せる。それはとてもぜいたくなことなのです。

