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国立大学法人 山口大学

No.06 2019年12月発行


(4.99惭叠;笔顿贵ファイル)

狈辞.06 12月号(2019年12月発行)

<特集>

「Academi-Q」タブロイド版は、山口大学総合図书馆(吉田キャンパス)、医学部図书馆(小串キャンパス)、工学部図书馆(常盤キャンパス)、医学部附属病院外来診療棟入口(小串キャンパス)で入手いただけます。


山口 古代テクノポリスの謎 -この謎が君たちには解けるか?-

YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 小原 彩乃




山口市春日神社の大絵马「国司総社参拝及鋳銭司古図」の一部

そもそもテクノポリスとは?

 テクノポリスとは、その时代の最先端技术を集めた都市のこと。现代で例えると工业地帯などの物作りの中心地をいいます。最先端の技术を使って高品质な製品を作り出すテクノポリス、実は、古代の山口県にもあったことを知っていますか?

山口でお金が作られていた!

 奈良时代から平安时代にかけて、山口県には国のお金を作る机関である鋳銭司(じゅせんし)が置かれていました。奈良时代(狭义では710?784年)、鋳銭司は长门国(现在の长门市や下関市)の国府(役所)の近くに置かれ、鋳造※1が行われていましたが、平安时代に长门国の鋳銭司(使)が廃止になり、周防国(现在の周南市や山口市)に移されました。それからおよそ200年间、周防国の鋳銭司で少ない时でも、计算上一日に约1万枚の銭货※2が鋳造されていました。
 周防国で鋳造が行われていた平安时代の都は京都でした。当然、完成した銭货は船で京都まで运ばれていましたが、山口県と京都府は直线距离で约500办尘も离れています。なぜ、远く离れた山口で鋳造が行われていたのでしょうか。なぜ、都の近くで鋳造しなかったのでしょうか。この谜を解き明かすために、山口大学人文学部教授の田中晋作さんたち考古学者は、発掘调査へと乗り出しました。

长年大宝写真提供:山口市教育委员会

みんなの力を一つに

 一回の调査で全てが分かるようになるということは、どの研究分野でもなかなかありません。山口市鋳銭司(すぜんじ)の『周防鋳銭司跡(すおうのじゅぜんしあと)』で行われた発掘调査の场合も同じでした。実は、鋳銭司での调査は、50年前にも行われており、今回の调査で叁回目でした。以前の调査では、鋳造に使用する道具が発见されました。调査地域周辺の銭仓(ぜにこ)などの地名と、発见された道具から、銭货の鋳造所はこの近くにあると推定されていましたが、正确な场所を突き止めるまでには至りませんでした。
 しかし、今回の调査はこれまでの调査と明らかに违う点がありました。それは、调査に参加した研究者たちです。従来の调査と违い、歴史学や地质学など、他のさまざまな分野の専门家による混成チームが一致団结して调査に取り组んだのです。その结果、地面の変色が炉の跡であることが判明したり、さびた金属の块が齿线颁罢撮影によって『长年大宝』の鋳损じ銭※3と判明したりするなど、考古学的视点のみでは明らかにできなかった数々の新発见がありました。
 鋳造の道具があり、製造するための场所(炉)があり、製造过程で出たと考えられる鋳损じ銭も発见されたことから、周防鋳銭司跡で銭货が製造されていたことが确定しました。従来の考古学的视点のみでは「あったことが确定」で终わっていたかもしれません。それだけではありません。他分野と协力したことで、鋳损じ銭のさびの成分から铜の产地を推定したり、地层の中に含まれる花粉などから鋳造が行われていた当时の周辺の环境がどうであったかを调べたりと、研究の幅が格段に広がったのです。そこで、考古学だけでなくさまざまな分野の研究视点を総合して、次の谜の解明に取り组むことになったのです。それは、なぜ、山口だったのか。

出土した长年大宝
X線透過画像(提供:公益財団法人 元興寺文化財研究所)
CT画像の模式図(作成:山口市教育委員会 青島 啓)

真相はいかに…

 山口県で鋳造が行われた理由、この谜を解くためのヒントはいくつかあると田中さんは语ります。まず、山口県は铜の特产地だったこと。奈良の大仏に、美祢市の长登(ながのぼり)铜山の铜が使用されるほど、质のいい铜が多くとれたのです。また、铜资源の开発は古坟时代から行われており、西暦600年代顷には山口でも始まっていました。さらに、美祢市には、当时鉱工业の先进国だった朝鲜の技术者がいた形跡があります。技术者を组织化して、完全国内生产に移行する。当时そういった流れがあったのかもしれません。
 しかし、それを実行するには、山口県が最も都合が良かったのかどうかはまだ分かりません。新発见が仮説を覆すかもしれませんし、考古学者も见逃した意外な新説があるかもしれません。真相はまだ解明されていません。あなたも、この谜解きに参加してみませんか?

※1 热で溶かした金属を型に流し込んで物を作る加工方法。
※2 主に东アジアで流通した硬货。多くは铜で作られていた。
※3 作る过程で失败したもの。


取材協力:山口大学人文学部 田中晋作 教授

クワの叶とカイコと天敌の果てしない攻防

The endless battle of mulberry leaves, silkworm and natural enemies!

YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 岡 芳乃

虫と花のパートナーシップ

 皆さんは、花はなぜいい匂いがするのかを知っていますか?それは、花の匂いで虫を呼び、花粉や种を远くに运んでもらうためなのです。例えば、ミツバチがイチゴの花の匂いにつられて蜜を吸いにやってきます。そのときミツバチの足に花粉が付き、别のイチゴの花にその花粉が运ばれることで実ができるのです。このように、花と虫はお互いにとっていい関係を筑き上げています。

叶の香りで虫を撃退

 では、叶っぱと虫の场合はどうでしょうか?例えば、チョウなどの幼虫、イモムシは、植物の叶を食べることで成长します。穴だらけになったキャベツを见たことはありませんか?虫に食べられることで病気になったり、栄养がうまく取り入れられなかったりするため、植物の叶にとって虫はデメリットでしかなさそうですよね。
 しかし、叶は虫に食べられっぱなしではありません。叶は、虫にかじられると「みどりの香り」を出します。私たちが草むしりなどをするときに香る、あのフレッシュな香りです。実は、この香りは虫にとって不快なものなのです。香りを出すことによって、叶は虫に食べられるのを防いでいるのです。

叶と虫、虫の天敌の攻防

 また、この香りは、イモムシの天敌であるハチやハエを呼び寄せます。例えば、呼び寄せられたヤドリバエは、イモムシに卵を产みつけて、イモムシを自分の子のエサにしてしまいます。こうして植物は间接的に自らの身を守っているのです。
 このように、植物とそれを食べるイモムシ、イモムシに寄生する天敵は、複雑な攻防を繰り広げています。この3者の関係をもっと詳しく知りたいと考えた山口大学农学部教授の松井健二さんは、カイコの観察を通してそれを解明することにしました。すると、カイコの幼虫は、葉に「みどりの香り」を出させないための工夫をしていたことが判明したのです!

クワの叶の上をいくカイコの戦略

 カイコはクワの叶を好んで食べ、绢糸の素になる茧(まゆ)をつくリ出すことで有名です。日本の着物には绢糸が使われており、カイコは绢糸を生成するために育てられます。
 松井さんがカイコを観察していると、カイコは大好物のクワの叶を食べるときに、「吐糸口(としこう)」と呼ばれる绢糸を生成する场所から、ヨダレのような分泌液を出していることに気づきました。さらに、この分泌液は「みどりの香り」が作られるのを邪魔する効果があることが分かりました。

カイコが出す分泌液の効果

 実際に、この分泌液にはどれだけの効果があるのでしょうか?松井さんは、普通のカイコと、吐糸口のないカイコの2匹に、クワの葉を食べさせて、カイコの天敵であるヤドリバエの行動を観察しました。普通のカイコがクワの葉を食べた場合、ヤドリバエが産卵した確率はわずか35%でしたが、吐糸口のないカイコがクワの葉を食べた場合は、70% の確率で産卵してしまったのです。このことから、松井さんは「植物と虫の関係は、競争のようなものである」と語ります。
 今回発见されたカイコの防卫机能は、これからの农业を変える可能性を秘めています。将来、作物の匂いを操作することによって、农薬を使用しなくても虫を寄せ付けない工夫ができるかもしれません。カイコとクワのこれからの竞争に热い视线が注がれます。


取材協力:山口大学农学部 松井健二 教授 / イラスト:YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 金丸彩佳

ダイヤモンドと鉛筆の芯は同じもの?! 物は見かけによらない!?

YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 杉尾 ひとみ

材料は炭素原子だけ!

 私たちが日ごろ使っている铅笔の芯と、キラキラ辉くダイヤモンド。见た目も形も値段も、全く异なります。しかし、実は同じ物质でできているのです!
 これら2つの物质は、炭素(颁)という同じ原子からできています。では、なぜこんなにも违うのでしょうか。山口大学理学部准教授の永嶌真理子さんは、「构造の违い」に答えがあるというのです。

构造の违いとは?

 ダイヤモンドは図のように、立体的につながり、强く固まっている构造をしています。一方の铅笔の芯(グラファイト)は、何层にも重なる形で构造をなしています。この何层も重なった部分がはがれることで、私たちはノートに字を书くことができるのです。また、この构造の违いが、色の违いや、电気を通すか通さないかを决めています。グラファイトは、层の隙间を电子が通ることができるため电気を通しますが、一方、立体构造をしているダイヤモンドは电気を通しません。また、グラファイトは、「光を当てられると色を吸収する」という性质を持っているため、さまざまな色を吸収した结果、反射する色がなくなり、黒く见えるのです。一方、ダイヤモンドは光をあてたくらいでは変化が起きません。そのため光は吸収されることなく透过するのでダイヤモンドは透明なのです。

铅笔の芯をダイヤモンドに!?

 永嶌さんによると、グラファイトをダイヤモンドに変えることは可能だそうです。もともとグラファイトは低い温度と圧力で生成され、ダイヤモンドは高い温度と圧力で生成される物质です。そのため、グラファイトにかなりの圧力をかければ、人工ダイヤモンドを作ることもできるのだそうです。いつも使っている铅笔をダイヤモンドに変えてくれたら嬉しいですね。


取材協力:山口大学理学部 永嶌真理子 准教授

チョコのエネルギーはスゴい!

YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 五十川 奈穂

カロリーの正体

 食べ物の袋に「カロリー」と书いてあるのを见たことがありませんか?そもそもカロリーって何なのでしょう。「カロリー(肠补濒)」は热量の単位です。现在では「ジュール(闯)」という単位で表します。私たちは、体の中に食べ物が入ったときに生まれるエネルギーのことを「カロリー」と呼ぶことが多いのですが、栄养学で正しくは「キロカロリー(办肠补濒)」と表します。
 人が生きていくためには、エネルギーが必要であることを皆さんは知っていると思います。カロリーを摂取することでエネルギーが生まれ、体を动かすことができるのです。そして人には基础代谢というものがあり、じっとしていてもエネルギーを使います。人は生きるために実に多くのカロリーを必要とする生き物なのです。

栄养素でカロリーは决まる

 「チョコレートは100驳当たりのカロリーがとても高いお菓子です」と山口大学教育学部准教授の森永八江さんは话します。エネルギーの大きさは、食品に含まれる叁大栄养素の炭水化物、タンパク质、脂质の合计で示されます。栄养素の中で脂质は、炭水化物やタンパク质に比べて1驳当たりのカロリーが高いとされます。脂肪のエネルギーが1驳当たり9办肠补濒に対して、炭水化物やタンパク质のエネルギーは1驳当たり4办肠补濒だからです。チョコレートは、砂糖と脂肪でできています。脂质が入っているため消化吸収に时间がかかり、より持続的にエネルギーを生み出すことができるのです。
 ところでチョコレートといえば、バレンタインデーを思い出す人も多いのではないでしょうか。想いを伝えるためにチョコレートを赠ったり、仲良しの友达と交换する人もいるでしょう。「好き!」という莫大なエネルギーをチョコレートに託すのは、理にかなった行為といえるのかもしれませんね。


取材協力:山口大学教育学部 森永八江 准教授

どうしてお正月に饼を食べるの?

あと少しで待ちに待ったお正月ですね!お正月に欠かせない食べ物といって连想するものといえば…そう、饼(もち)です。
今回は、饼について少し探ってみましょう。

YU-PRSS 山口大学広报学生スタッフ 道源 真結

饼なし正月もある!?

 今でこそ、一年中スーパーなどで売られている饼ですが、昔はお正月やお祝い事など特别な日の食べ物でした。饼は、农耕民族である日本人にとって、稲の魂が宿った神圣なものと考えられていたからなんです。
 私たちはお正月に饼は欠かせない食べ物だと思っていますが、山口大学人文学部准教授の谷部真吾さんによると、饼を食べない「饼なし正月」の地域もあるそうです。そんな地域では何を食べているのでしょうか。答えは、イモです。これは稲作に不向きな地域で、イモを中心とした畑作文化があったことの名残ではないかと考えられています。

生きる力をチャージ!

 お正月の饼と言って真っ先に思い浮かぶのが、その年の新しい神様をお迎えするための「镜饼」ですよね。镜饼は大小を重ねてできるだけ真ん中を高く円锥形に近づけるように饰られます。民俗学の父とされる柳田国男※は、镜饼は人间の心臓の形を模したものではないかと言っています。人间は食べることで生きることができます。だから贵重なお饼を身体の最も大事な部分である心臓の形に近づけようとしたのではないかと説明します。
 そして「镜饼」のようにお供えした食物は、一度神様が口につけたもの。それを私たちが食べることで、神様の力を体に取り込むことができるとされています。一年间の无事と平安を愿う気持ちは昔も今も変わりありません。新年に神様の力をもらって元気に一年を过ごしたいですね。

雑煮あれこれ

 元旦の朝は饼を入れた雑煮(ぞうに)を食べる家も多いかと思います。昆布やかつお节、野菜など、さまざまな食材を用いるのは、もともと神様にお供えした数々の食べ物のおさがりを煮込んだものだから。一口に雑煮といってもさまざま。ほかの家庭や地域の雑煮を见ると惊くものもあります。
 丸や四角といった饼の形や、焼いて入れるか、そのまま煮るかといった饼の调理法の违いのほか、しょうゆ仕立ての汁に塩渍けのブリを入れたもの、白みそ仕立ての汁にあんこ入りの饼を入れたもの、ダシで煮た小豆を入れたもの、クルミだれに付けて食べるものなど、中に入れる具や汁によって、いろいろな种类が存在します。
 みなさんの家庭では、どんな雑煮を食べていますか?お父さん、お母さんの出身地によって违う雑煮を食べる人もいるかもしれませんね。各地域でどんな雑煮を食べているのかを调べてみたり、友达と比べてみたりするのも面白いですよ。

※柳田国男(1875-1962)は日本民俗学の创始者といわれる。


取材協力:山口大学人文学部 谷部真吾 准教授

ヤマミィ4コマ『ヤマミィの雪化粧』

応募作品绍介 / あなたのご意见?ご感想

7月号で募集した「错视の写真」の応募作品を绍介します!

るりちゃん、いちかちゃんが见つけました!

 仙崎の金子みすゞ记念馆近くの観光ホテルの壁に浮かび上がる3顿っぽい絵の写真です。

視覚工学の研究者 長 篤志先生からのコメントです。

 视覚の特性を生かして作られた面白い作品です。见る角度や距离によってまったく见え方が违うでしょう。ぜひ见に行ってみたいですね。

あなたのご意见?ご感想

Academi-Q のwebページにご意見ご感想等をお寄せください。
※皆さまからお寄せいただいたご意见等は、誌面で绍介させていただく场合があります。あらかじめご了承ください。

YU-PRSS 広报学生スタッフ紹介

  • 五十川 奈穂(人文学部2年)
    チョコはお菓子のなかでもカロリーが高めであることを知り、それでバレンタインにはチョコなのかな、おもしろいな、と思いました。
  • 小原 彩乃(理学部4年)
    アカデミックのライターになって、はじめて考古学に関するものを书きました。読み手に伝わる文になっていれば幸いです。
  • 杉尾 ひとみ(人文学部2年)
    社会心理学に興味があり、人文学部を選びました。3 年からいよいよゼミに参加できるため、楽しみです。
  • 岡 芳乃(人文学部2年)
    部活でアンサンブルをする機会があり、そのための曲探しをしています。1 曲いい曲を見つけましたが、とても難しく悪戦苦闘しています。
  • 金丸 彩佳(教育学部3年)
    教育実习先で、アカデミックが掲示されているのを目にしました。なんだか少しむずがゆくも、嬉しいような気持ちになりました。
  • 窪田 真歩(人文学部2年)
    4コマ漫画を担当! 12 月号ということでヤマミィに雪をかぶってもらいましたが、フワモコでとってもあったかそうな雪になりました。
  • 道源 真結(人文学部3年)
    右手の親指以外の4 本の爪に “幸運のサイン( 小さな白い点)” が出没中です。みなさんは占いを信じますか?

编集后记

 まもなくお正月ですね。お年玉が気になることでしょう。ところで、お年玉はいつからあるのでしょう?货币を作るようになって、広く利用されるようになり、こどもが商品を买えるほど豊かな社会になって...
长い时间がかかりそうです。本を买って调べてみるといいかもしれません。ぜひ、お年玉で。


発行人 山口大学長 岡 正朗 / 編集長 山口大学教授 坂口 有人
デザイン?企画 株式会社無限 / 発行 山口大学総務企画部総務課広报室
〒753-8511 山口市吉田1677-1
TEL 083-933-5007 FAX 083-933-5013
E-MAIL yu-info@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)

総発行部数160,000部/ 山口県内の教育委員会?学校等を通じて、児童、生徒、保護者、先生方に配布します。次回4月発行予定。

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