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国立大学法人 山口大学

入学式式辞

 

 本年は寒さ厳しい冬が長く続きましたが、3月に入り一転して春は足早に訪れ、深まりました 。3月末には桜が満開を迎え、入学式の頃には散り急ぐのではないかと案じておりましたが、本日もなお花を留め、あたかも皆さんの門出を祝うかのように咲き続けているこの光景が、新たな歩みの象徴として皆さんの心に刻まれることを願っています 。

 新入生の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。山口大学は本年、創基211年を迎えます 。長い歴史の中で培われてきた学びの伝統のもと、皆さんを新たな仲間として迎えることは、私どもにとって大きな喜びです。また、これまで皆さんを支え、励まし続けてこられたご家族ならびに関係者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます 。

 さて、山口市の桜の名所の一つである一の坂川の川縁にある「一の坂川交通交流広場」には、本学の創基200周年を記念して建立された記念碑があります 。210年余り前、この地の近くには、本学の淵源となる私塾「山口講堂」が設けられており、その時から連綿と現在の山口大学へとつながっています。折に触れて桜を愛でるとともに、ぜひこの場所を訪れ、本学の歩みと、その原点にある志に思いを馳せてみてください。

 本学の理念は、「発見し?はぐくみ?かたちにする 知の広場」です。大学とは、単に知識を受け取る場にとどまらず、自ら問いを立て、思索を深め、他者との対話を通じて新たな知を生み出していく場であり、その出発点となるのは皆さん一人ひとりの好奇心です。物事をただ見過ごすのではなく、立ち止まり、「なぜか」と問い、そこに小さな驚きを見いだす。その営みの中にこそ新たな発見が生まれます。そして、その発見を一過性のものとせず、時間をかけてはぐくみ、自らの力で「かたち」にしていくことが求められます。本学は、その過程に寄り添い、皆さんの挑戦を支え続けます。

 さらに、大学での学びを通して、ぜひ皆さん自身の「夢」を見いだしてください。夢は外から与えられるものではなく、自らの内に芽生え、時をかけて育まれていくものです。本学は、その夢を大切に育み、やがて社会の中で確かなかたちとして結実させることができるよう、皆さんとともに歩んでまいります 。

 ここに、長州の先人であり、日本の近代化に大きな足跡を残した吉田松陰の志を継ぐ言葉を皆さんに贈ります。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」 この言葉が示すとおり、すべては夢に始まり、理想となり、計画となり、行動となって、はじめて現実を動かす力となります。どうか皆さん、自らの夢を確かに見いだし、それを礎として、揺るぎない意志をもって歩みを進めてください。

 现代社会は、大きな変化の只中にあります。科学技术の进展、価値観の多様化、国际社会の复雑化の时代にあって求められるのは、既存の答えをなぞる力ではなく、自ら问いを见いだし、考え抜き、探求し続ける力です。
 学びの道は、决して平坦ではありません。理解に苦しむことや、进むべき方向に迷うこともあるでしょう。しかし、その一つひとつの経験が、皆さんの思索を深め、人としての厚みを形づくっていきます。失败を恐れず、挑戦を重ねてください。

 また、本学には多様な背景と価値観を持つ仲间が集います。异なる考えに触れることは、ときに戸惑いを伴いますが、その违いを尊重し、対话を重ねることこそが、新たな知の创造につながります。多くの出会いの中で、自らの视野を広げていってください。本学は、皆さん一人ひとりの可能性を信じ、その力を最大限に引き出すための环境を整えています。教职员一同、皆さんの成长を全力で支えてまいります。

 「明日の山口大学ビジョン2030」では、2030年に向けて、<知の创造としなやかな人材の育成により地域に?世界に贡献する山口大学>を目标として掲げています。2030年は、もはや远い未来ではなく、确かな现実として目前に迫っています。

 知を创造し、変化の时代をしなやかに切り拓いていく人材へ。その歩みを、ここ山口大学から始めてください。そして卒业の日に、自らの成长を确かに実感できること、それこそが私たちの愿いであり、本学の使命です。

 未来は与えられるものではなく、自ら切り拓くものです。皆さんとともに、より良き未来を筑いていけることを心より愿っています。

 本日は、诚におめでとうございます。

令和8年4月3日
山口大学长 谷泽 幸生

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