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Divisor Problem と山口大学理学部?各学科のDP

大学院生のころ, 「研究テーマは複数持っていた方が良い」と指導教員の先生から何度か言われました. テーマが一つだけだと, 研究が行き詰った時に「苦しむ」だけだがテーマが二つ以上あると, 一つが上手くいかなくても, もう一つのテーマに力を注げば「少しは気が楽」, そのうち行き詰っていたことに良いアイデアが自ずと出て来るかも知れん, と. 言うは易く行うは難し. 私がこれを実践できるようになったのは, 博士号を取った後で, それもかなり後になってからのことです. 研究に行き詰まり, 別の研究テーマを探して苦しんでいる間に, 徐々に視野が広くなったのか, 他の事に気が付くようになりました. こういう事も考えられるのではないかと思えるようになりました. しかし, 今でもそうですが, 複数の事を同時に取り組むことは私にとってはけっこうな苦痛ですし, 二つ以上の研究テーマを持っていないこともあります. それでも常に問題を探し続けています. 見つけた問題が解決するかどうかはわかりませんが, 定期的に定理を証明するには, 先ず, 問題を日頃から探し続けなければなりません. 壮大な研究テーマに限らず小さな疑問など, 数学の問題を探し続けることが第一歩です. これは大学院生でなくとも, 数理科学科の学生にとっても大切なことだと思います. 講義で言われたことをそのまま鵜呑みにせずに, 「こういうときも, この定理は成り立つのだろうか」などと考える, 自問自答する習慣を身に付けてほしいと思います. ちょっとしたことが卒業論文や修士論文のテーマになるかも知れません.

私は, 自分の先生や先輩後輩, 指導学生, インド人と一緒に研究します. 研究テーマが複数あるとき, その人たちとの議論の中で, 研究テーマをアレ, コレと呼んでいたのでは話が通じませんので(世の中, そういう人たちもいますけど.), 問題を区別するために私が勝手に研究テーマに名前を付けます. 多くの場合, 〇〇 △△ という具合に二つの言葉を用いて, 研究テーマの名前にします. それらの名前の中でも多いのが, 〇〇 問題, という名前です. 〇〇の部分は研究の元になった論文の著者名やキーワードが入ります. この命名方法はきっと, 「ディリクレの約数問題」という名前の使われ方から来ていると思います.

自然数 \(n\) に対して, \(\tau(n)\) を
\begin{eqnarray}
\tau(n):=\sum_{d|n}1
\end{eqnarray}

と定めます. \(\tau(n)\) は \(n\) の正の約数の個数です. たとえば, \(\tau(1)=1\), \(\tau(2)=2\), \(\tau(3)=2\), \(\tau(4)=3\), \(\tau(5)=2\), \(\tau(6)=4\), \(\tau(7)=2\) です. \(\tau(n)\) の値は \(n\) について規則的であるとは断言しにくいです. そこで, \(\tau(n)\) の平均を考えるのですが, ディリクレが
\begin{eqnarray}
\sum_{n\leq x}\tau(n)=x \log x +(2\gamma -1)x +O\left(x^{1/2}\right)
\end{eqnarray}

を示しました. ここで, \(\gamma\) はオイラーの定数, \(O\) はランダウのオーです. これに基づいて, \(\Delta(x)\) (\(x\geq 1\))を

\begin{eqnarray}
\Delta(x):=\sum_{n\leq x}\tau(n) -x\log x –(2\gamma -1)x
\end{eqnarray}

と定めます. 今日, この \(\Delta(x)\) を調べる研究は, ディリクレの約数問題 (Divisor Problem ) と呼ばれています. いつか, 山口大学大学院創成科学研究科の講義「代数学特論」で,

\begin{eqnarray}
\Delta(x) = O\left(x^{27/82}\right)
\end{eqnarray}

の証明をやってみたいと思っています. \(27/82=0.3292\cdots\) なので, \(1/2\) から少し良くなっただけですが, これでも結構大変です (実際はもう少し良い評価が知られていますが, 私にはそれを解説できません.).

Divisor Problem を省略して書くと DP です. 二つの研究が二つとも上手く進まなければ, double pressure, 二つとも上手くいけば double pleasure どちらも DP です. 数学の研究にしろ, 数学の勉強にしろ本当に時間がかかりますので, 定理や論文が完成したとき, 読んでいる論文を理解できたとき, この上ない喜びを感じます. できないときは地獄です. 研究や勉強は, できないことばかりです. 地獄であっても, めげずにやるしかありません. できないかも知れないことをやるのはとても怖いことです. でもそれをやらないと定理は現れません.

山口大学理学部の各学科にもDPがあります. 理学部の学生のみなさん, 自分の学科のDP を知っていますか. DP とは Diploma Policy の省略です. diploma は卒業証書を意味しますから, この DP は卒業認定方針というような感じでしょうか.

たとえば, 理学部数理科学科のDPを山口大学のホームページの「教育?学生生活」欄の「教育情報」の中の ディプロマ?ポリシー | 国立大学法人 山口大学 の中の「ディプロマ?ポリシー」(令和7年度以降入学者用)の中の 理学部 数理科学科 | 国立大学法人 山口大学 からコピペします(注意: レポート課題のレポート作成のときに, 人が書いたものをコピペするのはダメです. それは知識?智慧を強盗するようなものです. 「ヒトーパデーシャ」には, 学問は財宝であり, それは奪われることはない, とありますが, 当時はコピペなんてなかった.):

山口大学理学部数理科学科では、共通教育の学修、数理科学の基础および発展的内容の学修を通して身に付けた幅広い教养と汎用的技能、専门的な知识?技能を総合的に活用しながら、広い分野で社会に贡献できる人材、さらには自らの専门性を発展させる意欲をもつ人材の育成を目指します。この実现のために、山口大学のディプロマ?ポリシーのもと、以下を理学部数理科学科のディプロマ?ポリシーに定めます。これらを満たした学生に対して、「学士(理学)」の学位を授与します。

[1]幅広い教养と汎用的技能

  1. 総合的な思考のために、数理科学をはじめ人文科学、社会科学、自然科学などの诸科学幅広い知识について理解を深めることができる。摆顿笔1-1闭
  2. 自らの考えを根拠?理由とともに理路整然と説明するための、プレゼンテーション能力や英语の基础的な能力を身に付けている。また、他者の説明からその主张及び论理的妥当性を判断し、议论によってその理解を深化させることができる。摆顿笔1-2闭

摆2]専门的な知识?技能

  1. 前提や约束に基づいて论理的に结论を导くことができる。摆顿笔2-1闭
  2. 数理科学の基础的な知识を身に付け、定められた约束の下で基本的な记号の操作を行い、具体的な例を计算することができる。同时に、记号に付せられた意味合いを理解して、抽象的な思考を运用することができる。摆顿笔2-2闭
  3. 数理科学の発展的な知识を身に付けるとともに、抽象的な数理构造に基づいて异なる対象を同一视するなどの俯瞰的な思考を行うことができる。摆顿笔2-3闭
  4. 数理科学について広く知り、いくつかの数学以外の対象に数理构造を见出すことで问题の解决法を议论することができる。また、数理科学の问题を解决する手段としてコンピューターや情报科学などの様々な手段を用いることができる。摆顿笔2-4闭

[3]自律?协働する力と物事をかたちにする力

  1. 数理科学の学修を通し、広く社会で活跃するための自己を管理しチームワークで仕事を进めることができる。摆顿笔3-1闭
  2. 様々な课题に対して问题点を整理し、解决するための手段を検讨できる。得られた解决手法を改良?一般化することによって、幅広い问题の解决に応用することができる。摆顿笔3-2闭

数理科学科のDPだけでなく, 山口大学の DP もありますので, 読んでみて下さい.

理学部各学科のDP は以下にあります.

これらは全部
教育?学生生活 | 国立大学法人 山口大学
の中に入っています.

ごちゃごちゃ書きましたが, 時間をかけて, のびのびと勉強を楽しんで頂ければと思います. 勉強がわからないという状態を恐れずに. (南出)

参考文献

  • A.Ivic, `The Riemann Zeta-Function’, Dover, 2003. (13章)
  • ナーラーヤナ著 金倉円照?北川秀則 訳 「ヒトーパデーシャ」, 岩波文庫, 岩波書店, 1968. (p.11)
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